特別対談|岐阜県立東濃特別支援学校 下野誠司校長×C-POWERグループ 肥田和明代表
<岐阜県立東濃特別支援学校 下野誠司校長との対談特集>
東濃特別支援学校の下野校長に、学校での学びや支援の工夫、そして子どもたちへの思いについてお話を伺いました。
親御さんが抱える不安に寄り添う、東濃特別支援学校の取り組みをご紹介します。

ーまずは自己紹介をお願いします
肥田:先生と生徒の関係ですね。
校長:約30年前、肥田くんが関特別支援学校の高等部1年生の頃に数学の授業を担当していたのと、寄宿舎でも舎監として一緒に過ごしました。肥田くんが起業した後もときどき会って交流を続けています。当時肥田くんと関わった先生はまだ現役でいますが、みんな「すごいな」って言ってますよ。
生徒に寄り添い成長を支える授業と支援
ー学校の授業や支援の職員の体制について教えてください
クラスの教員は基本的に担任と副担任で、あとはフリーの先生に授業に入っていただいたり、医療的ケアが必要な生徒さんには看護師さんに入っていただいています。作業学習では、外部の先生にもご指導いただいています。理学療法士と言語聴覚士の先生にも月に1回程の頻度で来ていただいて、生徒の支援へのアドバイスをもらっています。
肥田:東濃特別支援学校には、専門の方がいる安心な環境があるんですね。

ー東濃特別支援学校だからこそある授業はありますか?
作業学習と自立活動という授業があります。
作業学習は、中学部と高等部で行なっていて、知的障がいのあるお子さんが将来働く力や生活に必要な力を身に付けることを目的とした授業です。
高等部では、木工班や窯業班など8種類の教材を用意していて、生徒それぞれの特性に合った教材で学びます。班は、子どもたちに1回体験してもらってから、先生と相談して決めています。
肥田:自立活動は具体的にどんなことをしているんですか?
校長:自立活動は、生徒の障がいを少しでも改善して生活に役立てるために、今できないことを練習する授業です。例えば、知的障がいがあってコミュニケーションが難しい生徒には、SST(ソーシャルスキルトレーニング)を行います。ある場面を想定して、そのときにどのような対応が良いのかを考えさせたり、実際に演じさせたりして、自分の言動によって相手はどう行動するのかを勉強しています。
ー支援の中で、教職員の皆さんはどのような工夫をされていますか?
校長:先生と保護者が相談しながら作成する教育支援計画に基づき、1人ひとりに合わせた支援を行なっています。児童生徒の成長に合わせて支援の方法や量を調整し、教材や教具を工夫したりタブレットを活用したりしながら、小さな「できた」を積み重ねています。その積み重ねが、将来の社会参加につながると考えています。
障がいがあってできないことも多いですが、支援や指導を通して「できた」と感じた瞬間に見せる、生徒の自信にあふれた笑顔がたまりません。私たちは決して諦めず、必ずできることがあると信じて支援を続けています。
ー校訓「輝くいのち、共に生きぬく」にはどんな思いが込められていますか?
校長:校訓には、子どもたちの命を守り、社会につなげていくという思いが込められています。約10年前、東日本大震災を受けて防災教育の重要性を強く感じ、当時の校長が制定しました。
肥田:下野校長ご自身が大切にされていることはありますか?
校長:卒業後、1人で働いて生活できる子もいれば、保護者と一緒に生活しなければ日常が成り立たない子も多くいます。30年以上特別支援学校に携わる中で、卒業生を社会につなげた後に、どのような目標を持たせるのが正解なのか悩むことがありました。
そんな中で出会ったのが、日本理化学工業株式会社の故・大山泰弘会長が僧侶から聞いた「人間の究極の幸せ」の話です。その話によると、人間の究極の幸せには、人に愛されること、人に褒められること、人に必要とされること、人の役に立つことの4つの要素があります。私はこの話を聞き、やはり目指すべきは「幸せ」だと感じました。学校を卒業した後、その子が幸せに生きることが最も大切であり、それを目指して支援していきたいと思っています。
お子さんの未来を一緒に考える
ー保護者の方からよく寄せられる不安や悩みには何がありますか?
やはり1番多いのは、「お子さんが将来どうなっていくのか」という不安です。小学部、中学部、高等部へ進むとき、そして高等部を卒業した後の進路について、悩まれる保護者さんが多いです。さらにその先、保護者自身がいなくなった後の生活の不安を抱える方も少なくありません。
ー悩みや進路に対し、どのような相談体制を整えていますか?
校長:担任との懇談を年に数回計画的に行い、学校やご家庭での様子を共有しながら、お子さんの将来について話し合います。また、進路については小・中・高等部の各学年に応じて「進路懇談会」を実施し、進路情報の提供や相談の場を設けています。こうしたきめ細やかな取り組みは、通常学校ではなかなか見られないもので、特別支援学校ならではの特徴だと思います。
肥田:進路指導の先生もいらっしゃいますよね。どのように支援してもらえるのですか?
校長:お子さんの主体性を大切にし、学校がすべてを決めてしまうのではなく、保護者の方やお子さん自身で考えて自己選択できるようにしています。お子さんのやりたいことと現実的な可能性や、本人と施設の相性も照らし合わせながら、必要な情報を提供し、一緒に進路を考えていきます。
肥田:私も当時たくさん悩んで、パソコンを使ってデザインを勉強したいという思いから、デザインの専門学校に行きました。その経験がこうして今の仕事につながっていますね。
ー生徒さんの卒業後の進路について教えてください
校長:高等部卒業後は、3割強くらいの生徒が一般企業の障害者雇用の枠組み内で就職しています。あとの6割強の生徒は福祉事業所に通っています。進学する生徒はまれですね。
肥田:生徒の卒業後はどのぐらいサポートしていますか?
校長:卒業後3年間は、就職先や事業所へ様子を見に行ったり、関係機関と連携をとって情報収集をしています。安定して通えている子はその状態を守り、学校が介入しないといけない状況の場合は出動します。
肥田:かなり手厚いですね。これからもC-POWERグループの事業所が卒業先の活動場所として、生徒さんを受け入れられるよう体制を整えていきます!

1人ひとりの幸せと成長を願って
ー親御さんに向けてメッセージをお願いします
校長:私は入学式の挨拶で、「大事なお子さんを全職員でお預かりし、必ず成長させて卒業へ導きます」とお伝えしています。子どもたちには先生と一緒に協力し合いながら成長してほしいと願っています。皆さまの幸せを第一に考え、力を尽くしていきます。
肥田:東濃特別支援学校への通学を検討している方へ何かメッセージはありますか?
校長:お子さんの進路について、きっと様々な悩みや不安をお持ちだと思います。まずは今通われている学校などで、しっかりとご相談いただければと思います。そのうえで必要であれば、特別支援学校にも足を運んでいただき、私たちにご相談いただければ嬉しいです。今は学びの場の選択肢が広がっています。どの進路を選ばれても、お子さんに合った進路であれば大丈夫です。焦らず、じっくり考えていただければと思います。
ー学生さんに向けてメッセージをお願いします
校長:生徒の皆さんの心の中には、「やってみたい」「できるようになりたい」という思いが必ずあります。その思いを私たちと一緒に形にしていきましょう。できることを1つずつ増やしていくために、ぜひ挑戦してほしいです。

岐阜県立東濃特別支援学校
〒509-5101 岐阜県土岐市泉町河合根ノ上1127-10
電話 0572-55-4821 FAX0572-55-4829
対応地域:東濃西部地区(多治見市・土岐市・瑞浪市)
受入可能な障がい:知的障がい者、肢体不自由、病弱者
生徒数:小学部:72名 中学部:60名 高等部:96名 (2025/9現在)
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