特別対談|C-POWERグループ代表 肥田和明×多治見市教育委員長 仙石氏

<仙石教育委員長との対談特集>

多治見市教育委員会教育長の仙石さんに、子どもたちへの支援制度や悩みを解決する相談体制と障がいのある子どもたちへの支援についてお伺いしました。

 

 

ー家庭環境で困っている子どもたちが利用できる制度や支援はありますか?

仙石;家庭の経済面の支援には「就学援助制度」という制度があります。多治見市は、準要保護の所得基準を全国平均よりも広くとって支援しています。



肥田;
ヤングケアラーなどで悩んでいる子どもたちへの支援はありますか?
仙石;ヤングケアラーに限らず、いじめや児童虐待など様々な問題・悩みを相談する先として、「スクールソーシャルワーカー」がいます。多治見市の学校には2名配属されています。個別で悩みごとを聴くだけではなく、聴いた悩みを社会の中でどう解決していけばいいのかも相談に乗ってくれる存在です。子ども1人ひとりの悩みや状況を丁寧に聞き取り、解決に向けて動いてくれます。このように、丁寧に向き合って一緒に解決していくことが、悩んでいる子どもたちを支援する第一歩ではないかと感じています。
肥田;「スクールソーシャルワーカー」の他にも、相談できる場所はありますか?
仙石;多治見市役所の駅北庁舎3階の「子育てフロア」です。ここでは経済的に苦しい様々な問題を抱える方たちが、いろいろなスタッフと最善の方法を相談できます。
肥田;何らかの形でつながりを持って、支援を受けたり相談に乗ってもらえたりするんですね。
仙石;子どもたちや保護者の心理、経済状況など、一言で表せない複雑な悩みにしっかりサポートするために「重層的な仕組み」(※A)を作っておくことが大事だと思います。学校や子育てフロア、地域などどこかで接点を持っていくことが大事だと思います。一番いけないのは「孤立」です。ちゃんと相談を受け止めてもらえる場を作ることがポイントだと思います。
肥田;まさにC-fanは、情報を求めている人、手に取った人が相談できる場を見つけられるといいなという思いからの冊子です。C-fanを通して拠り所ができたらいいなと思います。
仙石:多くの大人たちは、もし相談をしてくれたらなんとかしてあげようという気持ちを持っています。気軽な相談でも大丈夫です。最初の一歩を踏み出してSOSを出してみてください。いろんな形で悩みを解決できる道は準備されています。C-fanの活動も重層的な活動の1つです。
肥田;その役目になれるように取り組んでいきたいです。

※A 重層的……本記事では、複数の方法・機関・制度で支援することを差します。

 

ー相談しやすい環境のために、どんな取り組みをしていますか?

仙石;先生とは違う立場の「ほほえみ相談員」を各学校に配属しています。さらに、教室に入りづらい生徒が行ける「校内教育支援室」で、ほほえみ相談員がいろんな相談に乗るという仕組みを作っています。子どもたちの話をしっかりと受け止めて、職員全体、学校全体でその子にとって何が一番いいのかを見つけていくことが大事なことだと感じています。多治見市では教育現場に協力したいという校長先生のOBが「トライサポーター」として、不登校生徒を支援しています。ほほえみ相談員と一緒になって生徒に個別にアプローチして、相談に乗ったり困りごとの解決を目指そうという取り組みを始めました。トライサポーターを配置した2校は不登校の数が目に見えて減っています。



肥田;その取り組みを知らなかったです。もし知っていれば、その学校に行きたいと思ってもらえるかもしれませんし、子どもたちの拠り所となるような取り組みですね。
仙石;相談しやすい環境も重層的だと考えます。第三者の立場で教育問題の経験と知識を持った校長先生のOBも配置していくことで、悩みを解決していくことが重要かなと思います。

ー障がいのある子どもの支援について教えてください

仙石;新しく建てるにはバリアフリー(※1)などの配慮ができますが、現状はすべての校舎にエレベーターやスロープをつけることは難しいです。そこで、設備が整っている陶都中学校を肢体不自由の生徒の指定校とさせていただいています。保護者の送迎が必要ですのでガソリン代を一部補助する制度も準備中です。
肥田;医療的ケアが必要な生徒の受け入れはしているのですか?
仙石;車いすの方だけではなく、医療的行為を必要としている生徒への受け入れも進めています。精華小学校を医療的ケア児の拠点校とし、看護師を常駐させることになっています。地元の学校に行きたいというご希望に添えないところはありますが、市全体としてインクルーシブ教育(※2)のように障がいのある生徒を通常学校で受け入れていく体制は少しずつ作っています。
肥田;障がいのある生徒を通常学校へ受け入れることについてはどう感じますか?
仙石;この支援や制度はご本人や保護者のためのように見えますが、周りの生徒のためにもなっています。周りの生徒たちが自然と優しくその子をフォローし気配りが備わっていくと考えています。人として自然に接し生活を共にする経験は、子どもたちに大きな影響を与えます。費用に見合う以上の効果や価値があると思います。
肥田;まだ私が学生だったとき「地元多治見市の学校に通いたい」と教育委員会に掛け合ってみましたが、通えませんでした。環境が整っていなかったり、障がいを理由に一般教育を受けることができないと言われてしまい、岐阜市の施設で18年間地元を離れて過ごすことになりました。その経験が逆に現在の福祉事業の取り組みにつながっていますが、地元で過ごす重要性を感じているので、変わってきていて嬉しいなと感じます。
仙石;ただ、どうしてもご希望に沿うことが難しくお断りせざるを得ない場合もあります。できる限り地域の子どもたちと同じ環境で教育を受けてもらえるよう、進めていきたいと強く思っています。
肥田;完璧は難しいですが、選択肢が広がっていくことは、地元を好きでいられることにつながりますね。
仙石;私が教育長でいる間にステップをひとつでも踏むことができたらと思います。特別支援学校から公立学校に転入する、特別支援学級に入った場合でも教科によっては通常学級に入ってもらう、徐々に通常学級での時間を増やしていけたらいいなと思っています。
肥田;「どんなふうがいい?」と生徒の意思を聞いて、選択できるというのはすごくいいなと思いますね。
仙石;インクルーシブ教育を実現させるために、担当スタッフたちも外部と協力しながら一生懸命頑張っています。

※1バリアフリー……階段や段差など生活者にとって障壁(バリア)となるものをなくすこと。

 

 

ー小学生、中学生、高校生の皆さんにメッセージをお願いします

仙石;一言で言うと、「挑戦」です。挑戦を積み重ねていかないと成長できないと思います。これから対人関係でも嫌なこともあると思います。「あの人と合わないな」「この人と話したくないな」と思うこともあると思いますが、全く話さない、お付き合いもしないのではなく、ある一線を少し越える勇気と、チャレンジ精神を持って動くことの繰り返しが大事だと思います。繰り返すことで、もしかしたら嫌な思いや挫折することがあるかもしれませんが、それでは何も生まれません。挑戦する、チャレンジする気持ちを常に持ち続けてほしいなと思います。地域のボランティアもその1つだと思います。面倒だし、大人と話さないといけないのは恥ずかしいと思うかもしれませんが、一歩踏み出す、一歩超えてみる。このチャレンジを繰り返して成長してほしいなと思います。
肥田;私も同じ思いです。挑戦なくして何も生まれません。私はC-POWERグループで常に「安全の中で挑戦する」と言っています。やはり多治見市の教育現場でも、安全の中で挑戦できるようにすることは大事ですよね。本日はありがとうございました。私も一緒に挑戦させてください!


 

教育現場から変わることができれば、それを取り巻く教育者の方々、そこの加わる子どもや保護者が様々な影響を受けます。新しい挑戦が始まろうとしています。

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